Einstein活動キャプチャとは?
Einstein活動キャプチャは、GoogleやMicrosoftのOutlookとSalesforceのメール・カレンダーを自動連携し、営業活動の可視化・生産性向上を実現するツールです。
Salesforceのカレンダー(イベント)、リード、取引先責任者を社内で利用しているMicrosoftやGoogleと同期をしたいという要件は、お客様からご要望いただくことが多いと思います。
対応する機能としては、Salesforce for OutlookやLightning Syncなどがありますが、既に廃止や廃止予定となっている機能があり、今後は、Einstein 活動キャプチャの利用が推奨されています。
本記事では、Einstein 活動キャプチャを用いた外部サービスとのイベントや取引先責任者の同期方法を具体的に紹介したいと思います。
Einstein Activity Capture(EAC)とは:SalesforceがメールやカレンダーのイベントをOutlookから自動的に取得し、Salesforceのレコード(顧客情報など)に関連付けて保存する機能です。
Einstein Activity Capture(活動キャプチャ)で出来ること
現時点(2025年6月)Einstein Activity Capture(活動キャプチャ)では以下のことが実現可能です。
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メール同期: Outlookの送受信メールを関連レコード(取引先、リード、商談等)の活動タイムラインに自動追加。メールインサイトやエンゲージメントデータ生成にも利用されます。
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行動同期: OutlookのカレンダーイベントをSalesforceの「私の行動」カレンダーと関連レコードに表示。会議の参加者情報から取引先責任者を自動関連付けます。
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取引先責任者同期: メール署名等から新規取引先責任者を自動検出し、Salesforceレコードとして登録。既存連絡先との重複防止機能も有効です。
Salesforce for Outlookの廃止について
Salesforce for Outlookについての変更内容について説明しておきます。
既に実施された変更(2021年夏)
- 2021年夏:アクションメニューの廃止:サイドパネルの「新規レコード」ボタン機能
- 2027年12月:Salesforce for Outlookの完全廃止
Salesforce for Outlookが廃止される主な理由は、以下の技術的な依存関係にあります。
- Salesforce for OutlookはMicrosoft Internet Explorer 11(IE11)と連動
- Lightning ExperienceによるIE11サポート終了の影響を受ける
- IE11からのAPEXコール解釈がLightning Experienceに依存
現在の状況
- Winter '19以降、既存ユーザーのみがメンテナンス段階で利用可能
- 新機能の追加は停止済み
2027年12月以降の影響
- 機能面:
- 取引先責任者、イベント、タスクの同期停止
- サイドパネルからのSalesforce接続不可
- 設定の更新・管理機能の停止
- データ面:
- 既存のSalesforceデータには影響なし
- 過去に同期されたOutlookデータは保持
- Outlook設定へのアクセスのみ不可
代替ソリューション
Salesforceは以下の次世代製品への移行を推奨しています。
- Outlook インテグレーション(旧Lightning for Outlook)
- Einstein 活動キャプチャ
詳細は以下の記事または公式HP(こちら)で確認することができます。
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Salesforce for Outlook廃止に関する情報と対応策
2025/6/18 Einstein Activity Capture, Einstein 活動キャプチャ, Outlook Integration, Salesforce for Outlook, イベント同期, カレンダー同期, メール同期
はじめに Salesforce for Outlookは、営業チームが日常的に使用するOutlookとSalesforceを統合し、業務効率を向上させるツールとして多くの企業で活用されてきましたが、 ...
Lightning Sync を使用した行動の同期
Lightning Syncについては、 Winter '21以降、新規のSalesforceユーザーは利用することができなくなっています。
また、現在Lightning Syncを使用している場合は、Lightning Sync移行アシスタントを利用してEinstein 活動キャプチャに移行する必要があるようです。
Winter21以前のSalesforce組織では、以下のようにLightning Syncの設定(オン/オフ)が表示されていると思います。
Winter21移行にに作成した組織では、以下のように「Lightning Sync は設定できなくなりました。」と表示されていると思います。
Lightning SyncとEinstein 活動キャプチャの機能比較は公式HPにてご確認ください
https://help.salesforce.com/s/articleView?id=000380330&type=1
MicrosoftやGoogleとの同期については、Einstein Activity Captureの利用が推奨されております。
Einstein Activity Capture(活動キャプチャ)を使用した行動や取引先責任者の同期方法について
今回は、Einstein Activity Captureを使って、MicrosoftのOutlookとの同期方法を具体的な手順で説明していきたいと思います。
まずは、用語の理解と制限事項、事前準備について確認しましょう。
📋 概要と用語解説
- サービスアカウント: Microsoft Office 365とSalesforceを接続するための専用アカウント
- 設定(Configuration): どのデータを同期するかを決める設定
- 権限セット(Permission Set): ユーザーが特定の機能を使用できる権限の集合
- 同期(Sync): データを2つのシステム間で一致させること
⚠️ 重要な注意点とDeveloper組織の制限
Developer組織での制限事項
- データ保持期間: 最大9日間の読み取り専用アクセス
- ユーザー数制限: 最大100ユーザーまで
- 分析機能: メトリクスやダッシュボード機能は有料版のみ
- Trailhead Playground: Einstein活動キャプチャは利用不可
事前準備が必要なもの
- Microsoft Office 365のビジネスアカウント(個人アカウントでは不可)
- Salesforce Developer組織の管理者権限
- Microsoft 365の管理者権限(サービスアカウント作成時)
🚀Einstein 活動キャプチャの設定手順
ステップ1: Salesforce側の基本設定
1-1. Einstein活動キャプチャの有効化
①Salesforceにシステム管理者でログインします。
②*設定(Setup)**をクリック
③クイック検索で「Einstein Activity Capture」と入力
④「Settings(設定)」を選択し、以下の画面を表示します。
⑤開始ボタンをクリックします。
⑥条件を確認して、承認欄にチェックを入れて、Einsteinを試すボタンをクリックします。
⑦次にメールとカレンダーサービスを選択します。今回はMicrosoft Office 365を選択します。
⑧ユーザーがアカウントを接続する方法を選択する画面では、組織レベルのOAuth2.0(現在はこちらの方式が推奨されています)を選択します。
これを選択することで、全てのEinstein活動キャプチャユーザが一度に設定可能となります。ユーザ毎に個別に設定する必要がなくなります。
⑨SalesforceとMicrosoftExchangeOffice 365の接続設定を行います。
Microsoft ExchangeOffice 365へのアクセスの欄で、ログインボタンをクリックします。
⑩Microsoftの管理者アカウントを選択します。
ここでは必ずMicrosoftの管理者ユーザを指定するようにしてください
※Microsoftの無料アカウントを作成して疎通確認を行うことも可能です。(1か月間無料で試すことができます。以下の記事にて登録方法を紹介しています)
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Microsoft Office 365の試用版(無料)を使ってSalesforceとの連携を検証する
2025/6/20 Einstein Activity Capture, Einstein活動キャプチャ, Microsoft, Outlook, イベント連携, メール連携, 外部連携
はじめに Salesforce開発でMicrosoftのOffice連携やAzureとの連携を行いたいという要件も増えてきましたが、提案活動や要件定義の段階で事前に検証してみたり、デモでお客様にお見せ ...
⑪Microsoftの要求されているアクセス許可の画面で、承諾ボタンをクリックします。
⑫Microsoftとの接続が完了するとテナントIDが自動的にセットされます。
念のため接続テストのテスト実行を行い、接続できます。と表示されるか確認しておきましょう。
同期に関する構成の設定
続いて、同期処理に関する構成の設定を行っていきます。
①Einstein 活動キャプチャ>設定をクリックして設定画面を表示します。構成のタブがあるのでそちらを表示します。
②設定の名前と説明を入力して、次へ進みます。
③同期設定では、メール、行動、取引先責任者それぞれについて、同期の有効/無効を設定することができます。
検証のため、全て有効化し、行動と取引先責任者については両方向での同期としておきましょう。
④行動な設定では、以下の設定が可能です。
メール:何日以内に送信されたメールを含めるか
行動:なん位置以内の終了日を持つ行動を含めるか、非公開の行動を同期するか。一覧の行動を同期するか。削除済みの行動を削除するか。
取引先責任者:条件を追加(項目と演算子で条件を指定します)、Chatterでフォローしている取引先責任者を同期するか。
連絡先が複数のSalesforce取引先責任者と一致する場合、次のSalesforce取引先責任者と同期する(最近の活動/最近の更新日/最古の作成日)
検証ユーザの作成
※本ステップでは、Microsoftとの同期処理検証用のアカウントを作成しますが、既に作成済みのアカウントを利用する場合はスキップしてください。
SalesforceのユーザーとMicrosoftのアカウントで同期する場合には、メールアドレスが一致している必要があるため注意してください。
①ユーザ>新規ユーザの作成で、Microsoft365で作成したユーザと同じメールアドレスのアカウントを作成します。
②ユーザー追加後、登録したメールを受信し、アカウントを確認ボタンをクリックして有効化します。
権限セットの追加
①設定>権限セットから「権限セット」を検索して実行します。
権限セットの標準Einstein活動キャプチャを利用するには、先にEinstein活動キャプチャを有効化しておく必要があります
②標準Einstein活動キャプチャの権限セットを表示して、割り当ての管理を実行します。
③検証を行う(Outlookと同期を行う)ユーザを検索して、チェックボックスをONにしたら次へボタンをクリックします。
④割り当てられたユーザーの有効期限オプションを選択
有効期限なしか、期限を指定して「割り当て」をクリックします。
⑤割り当てが成功したら以下のメッセージが表示されます。
Einstein 活動キャプチャ(その他設定)
Einstein活動キャプチャの設定画面の、設定タブでは以下の詳細設定が可能です。
- Einstein活動キャプチャの無効化
- 活動が追加されるレコードの指定(デフォルトでは、取引先、取引先責任者、リード、個人取引先、商談)
- 接続状況の通知(接続済みアカウントの割合が無効になっている場合、または注意が必要な場合に通知)
- 共有設定:新規ユーザのデフォルト活動共有、新規ユーザにデフォルトの活動共有を適用(ON/OFF)
- 非Einstein活動キャプチャユーザーとの活動共有(ON/OFF)
- 行動設定:内部行動を同期(ON/OFF)
- Salesforceカレンダーに同期された行動とキャプチャされた行動を表示(ON/OFF)
- 自動メール返信の共有を防止(ON/OFF)
- 機密メールの共有を防止(ON/OFF)
Einstein 活動キャプチャ(除外メールアドレス)
除外アドレスでは、メールアドレスまたはドメインをリストに追加すると関連付けられたメールと行動は、Salesforce レコードの活動タイムラインに追加されなくなります。
また、行動についてもSalesforce と接続済みアカウント間で同期されなくなります。。
⚠️ 注意事項とベストプラクティス
セキュリティ関連
- サービスアカウントのパスワード: 定期的な変更を推奨
- アクセス権限: 必要最小限の権限のみ付与
- 監査ログ: 定期的な同期状況の確認
パフォーマンス関連
- 初回同期: 大量のデータがある場合、時間がかかる可能性
- 同期頻度: 標準では15分間隔で同期
- データ量: 大量のメール・イベントがある場合は段階的に設定
トラブルシューティング
- 同期が停止した場合: 接続状況とエラーログを確認
- 重複データ: マッチングルールの見直しが必要
- 権限エラー: ユーザーの権限設定を再確認
Developer組織特有の注意点
- データ保持: 9日を超えるデータは自動削除
- 機能制限: 高度な分析機能は使用不可
- テスト環境: 本格運用前の検証に適している
📊 動作確認方法
1. 同期状況の確認
- 「Einstein 活動キャプチャ」→「設定」
- 「Connection Status」でステータス確認
- 「Recent Activity」で直近の同期状況を確認
2. データの確認
- 取引先や取引先責任者のレコードを開く
- 「Activity」タブでメール・イベントが表示されるか確認
- 関連付けが正しく行われているか確認
3. エラーの確認
- 「Setup」→「Einstein Activity Capture」→「Configurations」
- 設定の詳細画面で「Errors」タブを確認
- エラーがある場合は詳細を確認して対処
まとめ
記事が長くなってきたので、今回はここまでとします。
Salesforce側とMicrosoft Outlook側の設定が完了したので、次回は実際に同期設定したユーザアカウントを使って、カレンダーや取引先責任者の同期手順を説明したいと思います。
続きの記事はこちら
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Einstein Activity Capture(活動キャプチャ)を使用した行動や取引先責任者の同期方法について【②実施例】
2025/6/20 Einstein Activity Capture, Einstein 活動キャプチャ, Lightning Sync, Salesforce for Outlook, イベント同期, カレンダー同期, メール同期, 外部連携
Einstein活動キャプチャの同期設定について 前回は、Einstein活動キャプチャとMicrosoftのOutlook間をOAuth2.0で同期する設定を実施しました。※前回の記事は以下を参照し ...