Salesforceとは?できること・費用の実態・失敗する理由まで解説

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「Salesforceって、結局なにをするものなんだろう」

導入を検討することになった、異動先で使うことになった、転職先で必須スキルだった。きっかけはさまざまですが、調べ始めた方の多くが同じところでつまずきます。説明されている言葉が、どれも抽象的なのです。

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「顧客管理を一元化」「営業活動を効率化」「データドリブンな意思決定」。どれも間違ってはいませんが、これを読んで「なるほど、うちに入れよう」と判断できる人はいません。

この記事では、Salesforceとは何かという定義から始めて、製品名がなぜこんなに分かりにくいのか、ライセンス料以外にいくらかかるのか、そして導入が失敗するときは何が原因なのかまで踏み込みます。

筆者は20年以上、銀行・製造・官公庁といったエンタープライズ領域のシステム構築に携わり、Salesforce導入プロジェクトを推進する側で仕事をしてきました。製品を販売する立場ではないため、「入れない方がいい場合」も含めて書けます。 検索して出てくる解説の多くは提供側・パートナー側が書いたものなので、この記事は導入する側の視点で読んでいただければと思います。


Salesforceとは:3行でまとめると

まず結論から。

  • Salesforceとは、米 Salesforce, Inc. が提供するクラウド型のCRM(顧客管理)サービス群の総称です
  • 単一の製品ではなく、営業・カスタマーサポート・マーケティングなど用途ごとに複数の製品が存在します
  • ソフトウェアを自社サーバーに入れるのではなく、ブラウザから使うSaaS型です

「Salesforceを導入した」という言葉は、実際には「Salesforceのどれかの製品を導入した」という意味になります。ここが最初のつまずきポイントです。

CRM・SFA・MA の関係を整理する

Salesforceの説明では、この3つの略語が説明なしに出てきます。

略語 正式名称 ひとことで言うと
CRM Customer Relationship Management 顧客との関係を記録・管理する考え方と仕組み
SFA Sales Force Automation そのうち「営業活動」に特化した仕組み
MA Marketing Automation 見込み客を育てる施策を自動化する仕組み

CRMが一番大きな概念で、その中にSFAとMAが含まれると捉えると整理しやすくなります。Salesforceは、このすべてを製品としてそろえている、というのが実態です。

「SFDC」「セールスフォース」— 呼び方が複数ある理由

検索していると、同じものが複数の呼び方で出てきます。

  • Salesforce — 現在の正式表記
  • セールスフォース — 日本語表記。日本法人は「株式会社セールスフォース・ジャパン」
  • SFDC — 旧社名 salesforce.com, inc. の略。現在の正式名称に基づかない呼び方です

米国本社は2022年4月に法人名を Salesforce, Inc. へ変更しており、日本法人も同年に現社名へ変わっています。SFDC は現場に残っている慣用表現と理解しておけば十分です。求人票や社内資料で見かけても、指しているものは同じです。


Salesforceで何ができるのか — 業務の流れで見る

機能を一覧で並べても実感が湧かないので、データがどう流れるかで見ていきます。

見込み客の獲得  →  商談化  →  受注  →  導入・サポート  →  継続・追加提案
   (リード)      (商談)           (ケース)

Salesforceが解決するのは、この流れが分断されている状態です。

たとえば、こんな状況に心当たりはないでしょうか。

  • 見込み客リストは営業個人のExcelにある
  • 商談の進捗は週次会議のPowerPointにしかない
  • 受注後の問い合わせ対応はメールと電話で、営業は知らない
  • 「あの案件どうなった?」を聞かないと分からない

これらを同じ場所に記録し、つながった状態で見られるようにするのがSalesforceの中心的な価値です。逆にいえば、記録が入らなければ何も生みません。ここは後半の「失敗する理由」で詳しく触れます。


製品ラインナップと、混乱しやすい「名前の変遷」

ここが、多くの解説記事で説明されていない部分です。

主要な製品

製品 主な用途
Sales Cloud 営業支援(リード・商談・売上予測)
Service Cloud カスタマーサポート(問い合わせ管理)
Marketing Cloud マーケティング施策の実行・自動化
Experience Cloud 顧客・パートナー向けのサイト構築
Platform 独自アプリケーションの開発基盤

なぜ検索すると名前がバラバラなのか

Salesforceは製品名の改称が非常に多いため、記事の執筆時期によって呼び名が変わります。調べていて混乱するのは、あなたの理解不足ではありません。

かつての名前 現在の呼び方
Pardot Marketing Cloud Account Engagement
Einstein / AI Cloud 系 Agentforce(AIエージェント機能として再編)
Customer 360 Agent 360 / Data 360 として再整理

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古い記事を読むときは「今の名前は何か」を必ず確認してください。 社内に「Pardotを使っている」という人がいても、契約上は Marketing Cloud Account Engagement です。

製品名の改称は今後も起こります。この記事の表記も、参照時点の公式サイトで確認することをおすすめします。


初心者が最初につまずく用語

Salesforceを触り始めて最初の壁は、機能ではなく独特の用語です。Excelに例えると、一気に分かりやすくなります。

Salesforceの用語 Excelで言うと
オブジェクト シート(顧客シート、商談シート)
レコード 行(1件のデータ)
項目(フィールド) 列(会社名、金額など)
組織(Org) ファイルそのもの。会社ごとに与えられる領域

そして、業務用語も独特です。

  • リード — まだ取引が始まっていない見込み客
  • 取引先 — 会社。取引先責任者 — その会社の担当者個人
  • 商談 — 進行中の案件。金額とフェーズを持つ
  • ケース — 顧客からの問い合わせ・障害の記録

このあたりは、手を動かしながら覚えるのが結局いちばん早いです。当サイトでは初心者向けの解説を連載でまとめています。

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費用の実態:ライセンス料は総額の一部でしかない

「Salesforce 料金」で検索すると、ユーザー1人あたり月額いくら、という表が出てきます。あれは総額ではありません。

導入プロジェクトの見積もりで実際に積み上がるのは、こういう構成です。

費目 内容
ライセンス費 ユーザー数 × 単価 × 12か月。毎年かかる
初期構築費 要件定義・設計・実装・テスト。多くの場合ここが最大
データ移行費 既存Excel・旧システムからの移行。想定より膨らみやすい
教育・定着化費 マニュアル作成、説明会、初期サポート
保守・運用費 年3回のアップデート対応、改修、問い合わせ対応
追加購入 ストレージ、API実行回数、Sandbox追加など
Salesforce導入の費用内訳。ライセンス費は総額の一部にすぎず、初期構築費・データ移行費・教育費・保守運用費・追加購入が積み上がることを示す図

特に見落とされやすいのが、5年間で見たときの総額です。 ライセンス費は毎年発生し、契約更新のたびに条件が変わる可能性があります。初期費用だけで判断すると、3年目以降に想定とのズレが出ます。

具体的な単価・エディション構成は変更が頻繁なため、公式サイトの最新情報をご確認ください。この記事では金額ではなく「何にお金がかかるのか」の構造をお伝えしています。


導入プロジェクトはこう進む

「入れたらすぐ使える」と思われがちですが、実際にはシステム導入プロジェクトです。

要件定義  →  Fit&Gap  →  設計  →  構築  →  データ移行  →  受入テスト  →  定着化

Fit&Gap が成否を分ける

このなかで、プロジェクトの成否をもっとも左右するのが Fit&Gap(フィットギャップ) です。

Fit&Gapとは、自社の業務を標準機能でどこまで実現できるかを見極める工程です。ここで「標準に業務を寄せる」判断ができないと、独自開発が積み上がっていきます。

そして独自開発は、年3回のバージョンアップのたびに動作確認と改修が必要な負債になります。導入時に「できました」で終わらず、5年後まで抱える話になるのです。

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各工程で必要になるドキュメント——要件定義書、機能一覧、オブジェクト定義書、テスト計画書など——は、実務で使えるテンプレートとして公開しています。ゼロから様式を作る手間は省いてください。


導入が失敗する本当の理由

「現場が入力してくれない」——これは、失敗の理由ではなく結果です。その一段下に原因があります。

原因1:データモデル設計の誤り

オブジェクト(データの入れ物)の設計を誤ると、後から直すのが極めて困難になります。すでにデータが入っているためです。

「取引先と取引先責任者をどう分けるか」「1つの商談に複数の商品をどう持たせるか」といった判断は、業務を理解していないと決められません。ベンダー任せにしてはいけない工程です。

原因2:権限設計の後回し

「誰がどのデータを見られるか」を後から変えるのは、想像以上に大変です。プロファイル・権限セット・共有ルールが絡み合い、影響範囲が読めなくなります。

原因3:入力する人にメリットがない

現場が入力しないのは、怠慢ではありません。入力しても自分に返ってこないからです。

入力したデータが、その人の報告資料の自動生成につながる。上長に説明する手間が減る。そういう設計になっていれば、入力は続きます。「入力しろ」という指示だけでは続きません。


導入すべき企業・見送るべき企業

判断材料として、実務的な観点を挙げます。

向いている

  • 営業が複数名おり、案件情報の共有が課題になっている
  • 顧客との接点が営業・サポート・マーケなど複数部門にまたがる
  • 社内に管理者役を1名置ける(兼任でも可)
  • 業務プロセスを見直す意思がある

慎重に検討したほうがよい

  • 現在のExcel運用で実務上の支障が出ていない
  • 社内に管理者を置けず、変更のたびに外部委託が必要になる
  • 業務プロセスは一切変えず、今のやり方をそのまま再現したい
  • 導入すること自体が目的になっている

最後の項目が、もっとも危険です。「何を解決したいのか」が言語化できていない状態で始めると、ほぼ確実に迷走します。

他のCRM(HubSpot、Microsoft Dynamics 365、kintone、Zoho など)が適している場合もあります。当サイトはいずれの製品も販売していないため、中立の立場でお伝えできます。


これから学ぶ方へ:学習ルート

Salesforceは、無料で学べる環境が整っているという点で、他のエンタープライズ製品とは異なります。

  1. 開発者向けの無料組織を作る — 実際に触れる環境を自分用に持てます
  2. 公式のオンライン学習で基礎を固める — 体系的な教材が無料で公開されています
  3. 認定資格に挑戦する — 学習の到達点として分かりやすい目標になります

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まとめ

  • Salesforceとは、クラウド型CRMサービス群の総称。単一製品ではなく、用途ごとに製品が分かれている
  • 製品名の改称が多いため、古い記事を読むときは現在の名称を確認する
  • 費用はライセンス料だけではない。構築・移行・教育・保守を含めた5年総額で判断する
  • 失敗の原因は「入力されないこと」ではなく、その手前のデータモデル設計と権限設計にある
  • 導入の可否は「何を解決したいか」が言語化できているかで決まる

当サイトでは、Salesforce導入プロジェクトの実務ナレッジ——要件定義・設計・テスト・移行の各工程で使えるドキュメントテンプレートを公開しています。

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Salesforce、Lightning Web Components、Apex、SOQL、Experience Cloud、Agentforce、AppExchange、Trailhead は、Salesforce, Inc. の米国およびその他の国における商標または登録商標です。その他、記載されている会社名・製品名は各社の商標または登録商標です。

本記事は Salesforce, Inc. その他いかなる第三者からも、承認、提携、後援を受けたものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、製品名・料金体系・機能は変更される場合があります。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

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