今回からCreative Content Lab Tokyo(クリエイティブコンテンツラボトウキョウ)が主催しているセールスフォースのトレーニングコースとほぼ同様の講義内容を記事として公開していきます。
第1回目は、セールスフォースの基礎について説明していきたいと思います。
本記事では以下のことが学習できます。
- クラウドの基礎知識
- Salesforceの基本概念やアーキテクチャ
- セールスフォースの基本操作
1.クラウドの基礎知識
最近では、テレビCMなどでもクラウドという言葉を耳にするほど一般的な言葉になってきましたが、クラウドの正式名称はご存じでしょうか。
クラウドとは「クラウドコンピューティング」の略で、インターネットに接続することを前提とするサービスのことを指します。
正しい名称は知っていても以外ときちんと説明できる人は少ないのではないでしょうか。
クラウドコンピューティングの語源は、2006年8月9日に開催されたSearch Engine Strategies Conference(サーチエンジン戦略会議)にて、Eric Schmidt(エリック・シュミット)氏が発言したとされています。
実は、このインターネット経由でサービスを提供する技術は、インターネットが普及し始めたころからあるもので、以前は、ASP(Application Service Provider)と呼ばれていました。
ただし、当時はまだ日本でもインターネット回線は不安定で費用も高く、セキュリティに対する不安など多くの課題を抱えていた時期でもあるため、現在のように広く一般的に広く普及することはありませんでした。
セールスフォース・ドットコム社が日本へ進出した当時でも、まだ社内の基幹データや個人情報などを外部のサーバ上に預けることは情報漏洩の危険性などから多くの企業は敬遠している状況でした。
しかし、高速回線の普及やセキュリティ技術の進歩などにより、SalesforceやAWS(Amazon Web Serive)をはじめとしたクラウドサービスが徐々に注目されるようになってきました。
そして、日本の主要銀行をはじめ、行政機関などでの導入され、その後はどんどん市場が拡大してきました。
クラウドコンピューティングシステムの分類
参考
- IaaS (Infrastructure as a Service):仮想サーバーやネットワークなどのITインフラをインターネット側のサービスとして提供。 代表的なサービスに、 Google Compute Engine や Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) がある。
- PaaS (Platform as a Service):プラットフォームをインターネット型のサービスとして提供。代表的なサービスとしては、Google App Engine、Amazon Web Service、Microsoft Azureなどがあります。PaaSでは、基本的に開発したアプリケーションをクラウドプラットフォームへアップロードするだけでアプリケーションが利用可能となります。
- SaaS (Software as a Service):ソフトウェア、アプリケーションをインターネット型のサービスとして提供。代表的なものにGoogle AppsやOffice Web Apps、Dropboxなどがある。Salesforceは、このSaaS型のクラウドサービスとなります。
- DaaS (Desktop as a Service):シンクライアントのようにデスクトップをインターネット経由で提供するサービス(ディスプレイとキーボード、マウスなど最低限の機材だけで、インターネット上からデスクトップ環境を呼び出して利用することが可能。
クラウドサービスの提供レイヤー
画像をクリックすると拡大できます。
本記事でご紹介しているスライドを含めた資料をダウンロードはこちらからどうぞ
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参考ユーザ向け説明用資料(クラウドの基礎)スライド
本記事では、Creative Content Lab Tokyo(クリエイティブコンテンツラボトウキョウ)が作成したユーザ説明用の資料(クラウドの基礎)のスライドをご提供しております。 1.ページサ ...
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上記の図の通り、SalesforceはSaaSに属し、ソフトウェアをサービスとして提供するクラウドサービスベンダーとなります。
特徴としては、インフラのレイヤーにあたるサーバ機器などのハードウェアや負荷分散装置などはサービスとして提供され、さらにソフトウェアの実行や開発に必要となるデータベースやミドルウェア、開発フレームワーク、汎用ビジネスロジックなども提供されています。
そのためSalesforceでは、自社でなにも用意する必要なく申し込みをすれば即日利用を開始することができます。
標準で提供される画面や機能についても、業務に合わせて柔軟にカスタマイズすることができます。
例えば、項目の追加や画面レイアウトの変更、メールの送信設定の追加、承認ワークフローの設定など、通常のスクラッチ開発であれば、数時間程度要する作業も、ノンコーディングの簡単な設定をするだけで実装することができ、作業も数分程度で完了することができます。
Salesforceの特徴と利用メリット
- サービスを申し込みすれば、即日から業務システムとして利用することができる(準備期間が不要)
- システムの利用・開発に自社でインフラやOS・ミドルウェアなどを用意する必要がない
- 国の行政機関や金融機関でも利用されるほどの高度なセキュリティが担保されている
- ノンコーディング開発や用意されたフレームワークの利用により開発工数を大幅に減らすことができる
- PCだけではなく、モバイルにも対応している
上記のようにSalesforceを利用するメリットはたくさんありますが、もちろんSalesforceが苦手とする部分やサービスの利用に関する制限事項などもあります。
例えばセールスフォースは、マルチテナントクラウドのため、SalesforceプラットフォームのCPUやデータベースなどを複数の企業が使う仕組みとなっています。
そのため、処理性能パフォーマンス向上のためのデータベースのチューニングやメモリ割り当ての変更など独自の調整を行うことはできません。
また、CPUやメモリなどの共有リソースを1社が独占しないように処理に制限をかけるガバナ制限というものがあります。
例えば、Salesforceのビジネスロジックやデータベーストリガーのようなものを開発するためのApexという言語がありますが、Apexでは、1つの処理の中での中で、SOQL(SQLと似たようなデータベース操作する言語)のクエリ発行数は100回までしか行えないとか、1つのSOQLクエリでは1回に5万件までのレコードしか取得できないなど。
※条件により回数や件数は異なります。ほかにどのような制限事項があるか詳しく知りたい方はこちらを参照してください。
ガバナ制限を関しては、開発者に関して理解しておく市重要概念となるため、別の機会に詳しく説明いたします。
Salesforceアーキテクチャ基礎
クラウドサービスの種類や特徴をご紹介しましたが、続いてSalesforceの基礎知識として知っておくべき事項について解説していきます。
セールスフォースのアーキテクチャ基本概念
- マルチテナントクラウド
- インスタンスとリージョン
- データセンター
- トラストサイト( Salesforce Status! )
- Salesforceのリリース(バージョンアップ)
マルチテナントクラウド
※画像をクリックすると拡大できます。まずは、マルチテナントクラウドについて説明します。上記資料をご覧ください。
Salesforceは、クラウドプラットフォーム上のリソースを複数の企業が共同で利用するマルチテナントクラウドです
そのため、1つの企業がリソースを使いすぎて、他の企業の利用に影響を与えないために高度な仕組みが用意されています。
特徴としては、Salesforceのデータベースインスタンスは企業ごとに分けるのではなく、複数の企業で1つのインスタンスを利用しているということです。
当然他の企業の情報を見れてしまっては困るため、データベースのリソースは共有させつつも、データはユーザ(企業)ごとに独立させるような独自のフレームワークを採用しています。
共有されるリソースについては、図の右下にSalesofrceインスタンス内で赤枠で囲った範囲となります。
続きは、こちらの記事をどうぞ
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参考セールスフォースの基礎Ⅰ(2)インスタンスとリージョン~基礎用語
今回からCreative Content Lab Tokyoが主催するセールスフォース講義の第2回目となります。 前回は、まずクラウドの基本的な部分からSalesforce(セールスフォース)の基本的 ...
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