今回の記事は、プロジェクトの計画策定がテーマとなります。
営業の提案が採用されると、その後正式に契約となりますが、契約締結後(もしくはもう少し事前に)プロジェクト開始のための準備を始める必要があります。
プロジェクトの規模にもよりますが、通常プロジェクト開始の準備期間としては、最低数週間から1か月程度は必要となります。
お客様とキックオフの日程だけ先行して決まっていて、準備期間がほとんどないというケースも多々ありますが、最初の準備は非常に重要となるためしっかりと準備期間を設けることをお勧めします。
プロジェクト計画段階では検討すべき事項がたくさんあります。
もっとプロジェクト管理全般に関して体系的にしっかり学びたい方は、PMBOKの学習やPMPの資格を取得することをお勧めします。クリエイティブコンテンツラボトウキョウがお勧めする書籍が知りたい方は、こちらを参考にしてください。
続いて、それぞれの事項について関係者を交えて詳細を検討し、計画書(ドラフト)を作成しましょう。
ドラフトのレビューを繰り返し、プロジェクト計画書を仕上げていきます。 ※()は役割とか担当者
- プロジェクト計画(PM)
- 提案・契約内容の再確認(精査)
- プロジェクトの目的、改善目標の明確化
- システム全体像、スコープ、開発方針の明確化
- マスタスケジュール策定
- WBSの作成
- 要員計画(外注依頼)
- QCD(品質・コスト・納期)計画
- コミュニケーション計画
- 開発環境計画
- セキュリティ、リスク計画
- 標準化計画
- プロジェクト計画書ドラフト作成(PM)
- 内部レビューの実施(営業、PM、プロジェクト責任者)
- プロジェクト計画書の内容に関する事前すり合わせ(対お客様)
- プロジェクトキックオフ会議での計画書説明(ステークホルダー全員)
上記とは別に、平行してプロジェクトメンバーへの内部キックオフの実施や、プロジェクトメンバーによる先行作業として以下のようなことを進める必要があります。
- 環境構築、技術調査(コンサル)
- 申し送り事項の確認(営業+全員)
- コミュニケーションツールの設定(PMO)
- 受領資料などの整備、インプットの読み込み(全員)
1.プロジェクト計画
プロジェクト計画は、基本的にプロジェクトを受け持つ予定のプロジェクトマネージャ(以下、PM)が作成することになります。
プロジェクトマネージャの手腕が試される最初の試練といったところでしょうか。
プロジェクト計画は言うまでもなく、プロジェクト成功の要となる非常に重要なものです。
この計画ベースにプロジェクトが進行していくことになりますので、いかに精緻な計画を立てられるかが重要となります。
もちろん、プロジェクトが予定通りに進むということは極めて稀で、基本的には実体に合わせて計画を変更することもあります。
ただし何度も大きく変更が生じるとお客様にも不信感を与えてしまうことにつながるため、変更の際は部分的な見直しではなく全体を見て、現実的で最適な計画となっているかしっかりとレビューを実施する必要があります。
プロジェクト規模に合わせたプロジェクト計画の策定
プロジェクト計画は、プロジェクト規模の大小にかかわらず基本的に作成すべきものになります。
(※保守案件や単発機能開発、機能改修などは不要)
Salesforceのプロジェクトは、小規模であれば数百万、大規模であれば億を超えることがありますが、プロジェクト管理という観点では小規模案件であっても本来やるべき作業はさほど変わりません。
プロジェクトである以上、PMBOKに基づく管理を要求される場合が多いです。
ですが現実的には、中小規模のプロジェクトを担当する場合は、単一案件ではなく、複数の案件の掛け持ちになることが多く、管理の作業負荷が高いことが課題となっています。
本サイトで提供しているテンプレートや標準プロセスに沿ってプロジェクトを推進することで少しでも管理作業を効率化し作業負荷を減らしていただければ幸いです。
重要なことは、お客様と管理品質レベルを事前に合意しておくこととなります。
そのためにどのような管理作業(管理対象、管理方法、報告方法など)を想定していてどの程度の工数をかける必要があるか事前に検討する必要があります。
プロジェクト計画書(章立て)
それではプロジェクト計画書の作成について説明していきます。
まず、一般的なプロジェクト計画書の章立ては以下のようになります。
※中小規模の案件(ライセンス費用など込みで、5千万程度以下の案件くらい)であれば、もう少し簡略化した計画書を作成してもよいでしょう。
【プロジェクト計画書(章立て)】参考
表紙
改訂履歴
本書の構成
目次
- プロジェクト概要
- プロジェクトの目的とゴール
- システムの位置づけ
- プロジェクトスコープ
- 要求機能概要
- システム構成(全体像)
- ネットワーク構成(全体像)
- プロジェクトの全体計画
- プロジェクト目標と評価指標(任意)
- 各工程の考え方と作業計画
- 各工程の開始/終了クライテリア
- マスタスケジュールとマイルストーン
- 体制と役割
- 成果物/納品物
- 品質計画
- 工程別品質要素・品質水準
- レビュー計画
- テスト計画
- コミュニケーション計画
- 会議体
- コミュニケーションルール
- 課題管理・報告
- 品質管理・報告
- コスト管理・報告
- 進捗管理
- 仕様管理(変更管理)
- セキュリティ管理
- 情報の取り扱いに関して
- 知的財産権計画
- リスク分析結果と対応方針
- 標準化計画
- 作業方針書・規約類
- 文書管理ルール
- 添付資料(Appendix)
- 納品物テンプレート
- 用語集
超大型案件などでは、上記のほかにも多くの事項を定義することがありますが、規模に応じて使い分ければよいでしょう。
計画書の章立てを見ただけでも記載項目は多く、検討事項の内容も難しいため経験が少ないうちは何を書くか難しいと思います。
まずは社内で利用されているプロジェクト計画書のテンプレートを使ってドラフトを作成することをお勧めします。
テンプレートがないという方は、Creative Content Lab Tokyoが作成したプロジェクト計画書のサンプルを参考に作成してみてください。
プロジェクト計画書サンプル
※図をクリックすると拡大表示されます。
プロジェクト概要
マスタスケジュールとマイルストーン
コミュニケーション計画
体制と役割
テンプレートのダウンロードについて
PPTなどのテンプレートが必要な方は、以下の記事からダウンロードしていただくことができます。
-
プロジェクト計画書プロジェクト計画書(PPTテンプレート)サンプル・利用方法
注意 【お知らせ(2022/12/24)】 本プロジェクト計画書は古いバージョンとなります。最新版は、以下の記事からダウンロードできます。 サポーターぜひ最新版のフォーマットをご利用ください。 本記事 ...
続きを見る
プロジェクト計画書の書式について
プロジェクト計画書のサンプルをご覧になられましたでしょうか。
プロジェクト経験豊富な方であれば、それぞれの章で記載すべき内容やなぜ記載すべきなのかということはよく理解されていると思いますが、初めてプロジェクト管理をする場合には、いきなりプロジェクト計画書を作成するのは難しいと思います。
実際には、テンプレート渡すから同じように作ればいいよー。と上司から気軽に言われて四苦八苦することが多いのが実情ではないでしょうか。
続いて、これからプロジェクト計画書を作成される方のために具体的に記載すべき内容や書き方など説明していきたいと思います。
表紙
まずは、表紙の作成から。会社のテンプレートによって表示位置やサイズなど様々ですが、基本的には以下のような構成が一般的です。
- 顧客名(左上)
- プロジェクト名(上下中央)
- 版数(中央下段)
- 作成日、作成者(会社)(中央下段)
改訂履歴(変更履歴)
続いては、改訂履歴の作成となります。
プロジェクト計画書は一度作成したらそれで終わりではなく、計画が変更になる場合は、計画書を修正してその上でステークホルダーと合意を行う必要があります。
そのため、改訂履歴のページを作成しておき、変更がある場合は改訂履歴のページを合わせて更新します。
改訂履歴のページの記載内容は以下)
- 版数:履歴の版数を記入
- 発行日:新規版数の発行日を記入
- 改訂箇所:改訂箇所のページやタイトルを記入
- 改訂履歴:改訂内容詳細を記入
- 改訂者:改訂者を記入
- 承認者:改訂内容に対する承認者を記入
本書の構成
成果物や納品物に関して、基本的に資料構成を説明するページを入れておきましょう。
全体の資料構成及び本書の位置づけがわかるようにし、ほかの文書との関連性もわかるようにしておきます。
本サイトのサンプルでは、資料の構成を表現するためフォルダやOfficeのアイコンを利用し、階層構造で表現しています。
プロジェクト計画書と補足資料の全体像とそれぞれの資料の役割がわかるように表現しましょう。
- 資料を格納しているフォルダ
- 資料の様式に合わせてアイコンで表現
- 資料の内容についての説明文
続きは、次の記事へ
-
プロジェクト計画書(2)プロジェクト計画書の作成(2)
プロジェクト計画書(2) それでは前回に引き続きプロジェクト計画書の作成について説明していきたいと思います。 前回の記事をご覧になりたい方はこちらからどうぞ。 まずは、計画書の概要や目的についての記載 ...
続きを見る